『勝負は6~7割の勝ちで十分。完全勝利は次の大負けの下地となる。』
・・・武田信玄・・・
これは、ご存知「風林火山」の旗をなびかせ、戦国最強の騎馬軍団を率いた男、武田信玄の言葉だ。
1521年、名門甲斐源氏の嫡流として生を受け、武田家の版図を甲斐(山梨県)
のみならず信濃(長野県)やその周辺にまで急拡大させた大名である。
旗印の「風林火山」は、世界最古の兵法書「孫子」からの引用であり、
その兵法書通りの用兵を実践し続け、織田信長、徳川家康からも恐れられた。
一方で、金山の経営や信玄提の建設など領民に喜ばれる政策も実行し、
その手腕を手本とする現代の経営者も多い。
その生涯戦績は通算72戦49勝、負けたのはたったの3敗。
引き分けが20個だから、つまり9割5分は負けないのだ。
3敗した合戦ではいずれも大きな犠牲を払っているとはいえ、驚異的な戦績である。
さて、8割以上の勝ちが良くないのは、次の戦で油断を生むからだ。
6~7割程度の戦勝が理想である。負けた側の心理を考えても、
完敗させたのでは恨みを残し、戦後政治がしにくくなる。
また、残った敵の勢力を吸収することも難しくなる。
さきほどの戦歴の勝率を算出すると、なんと6割8分。
その有言実行ぶりは、まさに”甲斐の虎”の異名に相応しい。